再建築不可の土地を相続してしまった場合、売却や管理に関するさまざまな悩みが発生することがよくあります。特に、再建築不可の土地というのは、現在ある建物を取り壊しても新たな建物を建てることができない土地のことを指し、この制約があるために買い手を見つけるのが非常に困難です。こうした土地を相続してしまうと、相続人は固定資産税や管理の義務を負うだけでなく、売却したいと思ってもなかなか売れずに苦労することが多いのです。
再建築不可の土地が売却しにくい理由の一つとして、建築基準法で定められた「接道義務」を満たしていないことが挙げられます。接道義務とは、家を建てる際に幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していることが条件となるルールです。再建築不可の土地は、この接道義務を果たしていないケースがほとんどであるため、家を建てられないという問題が生じます。その結果、購入希望者にとっても利用価値が限られるため、売却が難しくなってしまうのです。
また、再建築不可の土地を相続した場合、固定資産税の支払いが必要になります。土地を活用していなくても、所有している限り税金は発生します。更に、土地が放置されていると、管理責任が問われる可能性があり、周辺環境や隣接する物件に悪影響を及ぼした場合には損害賠償のリスクも考えられます。例えば、建物が老朽化して倒壊し、近隣住民に被害を与えた場合、所有者はその責任を負うことになります。このように、相続した土地を管理する義務が生じるだけでなく、トラブルが発生するリスクも抱えることになるのです。
再建築不可の土地を相続してしまった場合には、売却以外にもいくつかの選択肢があります。不動産会社による買取を検討するのもその一つです。買取は市場価格よりも低い金額になることが多いものの、短期間での売却が可能で、売れない土地を長期間抱え込むリスクを回避する手段として有効です。また、寄付や贈与を検討することも選択肢の一つです。ただし、価値が低すぎる土地や利用価値がないと判断される土地は、寄付先や受け取り手を見つけるのが難しい場合もあります。そのため、場合によっては、周辺の土地所有者と交渉し、引き取ってもらえるかどうか相談するのも一つの手です。
さらに、再建築不可の土地の管理や売却が難しい場合、空き家バンクへの登録も有効な手段です。空き家バンクは、使わなくなった土地や建物を売りたい人と、購入を希望する人をつなげるサービスです。このサービスを利用すれば、少しでも土地の活用を検討している人にアプローチできる可能性が広がります。ただし、空き家バンクを利用する際には、売却希望者が自ら購入希望者と交渉する必要があるため、しっかりと準備をしておくことが重要です。
再建築不可の土地を相続してしまった場合、その土地の売却が難しい理由は、建築基準法の接道義務を満たしていないことが多く、家を新しく建てられないことが主な原因です。このような土地を所有し続けると、固定資産税や管理の義務が発生し、老朽化による損害賠償リスクも伴います。解決策として、不動産会社による買取や寄付・贈与、空き家バンクへの登録などがあります。いずれの方法を選ぶにしても、早めの対策が必要で、専門家に相談することが重要です。