
空き家を売却する際に、つい見落とされがちな「地中埋設物」の問題。いざ売買契約や解体工事の段階で発見されると、追加費用がかさむだけでなく、買主とのトラブルを引き起こすリスクもあります。ここでは、地中埋設物の概要や撤去費用の相場、事前の確認方法について詳しく解説していきます。
地中埋設物とは?その影響とリスク
地中埋設物を知るうえでまず重要なのは、「どんなものが埋まっているのか」「売却時にどのようなリスクがあるのか」を正しく理解することです。本章では、地中埋設物の定義や、売却価格・契約上の影響を中心に取り上げます。
地中埋設物とは何か?
地中埋設物とは、土地の地下に埋まっている不要物の総称です。たとえば、建物を解体した際の基礎コンクリート、井戸や浄化槽、建築廃材や廃棄物などが該当します。地上からは見えないため、売却後に新たに発見されることもあり、思わぬ費用負担の原因となります。
地中埋設物が売却に与える影響
売却活動において、地中埋設物は以下のような影響をもたらします。
- 売却価格へのダメージ
撤去費用を嫌った買主が、値下げを要求してくる場合があります。 - 契約トラブルのリスク
「現況有姿」(現状のままで売却する)で契約していたとしても、売却後に発見された埋設物に対する撤去費用を売主が求められるケースがあります。契約書の特約や負担区分について、事前に明確にしておくことが大切です。
地中埋設物の撤去費用と相場
地中埋設物の撤去には、どの程度の費用がかかるのでしょうか。本章では、一般的な費用相場や買取業者が費用を負担してくれるケースなど、金銭面でのポイントを解説します。
撤去費用の相場
埋設物の種類や量、土地の状況などによって費用は大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安です。
- コンクリート片や廃材など軽微なもの: 5万円~30万円
- 井戸・浄化槽などの大型撤去: 10万円~50万円
- 大量の廃棄物や大規模撤去: 50万円以上になるケースもあり
解体工事中に思わぬ埋設物が発見されると、想定以上の費用負担が発生するため、あらかじめ資金計画を立てておくと安心です。
買取業者が撤去費用を負担するケース
最近は空き家の買取サービスを利用する方も増えています。買取業者に売却する場合、撤去費用を業者側が負担してくれることがありますが、契約条件や交渉内容によって異なるため注意が必要です。
- 「現況有姿」での売買契約
業者がリフォームや解体を前提としている場合、埋設物撤去を一括して行うケースがあります。契約書に「撤去費用は買主負担」と明記されているか必ず確認しましょう。 - 契約後に発見された場合の特約
後から見つかった埋設物の費用負担をどちらが負うか、契約書で詳細に決めておくとトラブルを回避しやすくなります。 - 実質的な売却価格を確認
業者が撤去費用を負担してくれるように見えても、その分売却価格が下がっている場合があります。総合的に判断し、実質的な手取り金額をしっかり検討することが重要です。
地中埋設物の撤去方法と注意点
いざ埋設物が見つかった場合や、あるかもしれないと疑われる場合に、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、事前確認の手段や業者選びの要点を整理します。
事前に確認する方法
- 土地調査・地盤調査
地盤改良の必要性を調べるときに、地中埋設物が発見されることがあります。調査会社に依頼して、土壌の性質とともに埋設物の可能性を探ってもらうと安心です。 - 解体工事中の発見
空き家を解体する際にコンクリート片や廃材が出土することは、よくあるケースです。解体業者に「埋設物が見つかった場合は連絡してほしい」と依頼し、迅速に対応できるよう準備しましょう。 - 公図や過去の建築図面のチェック
古い図面に井戸の位置や建物の基礎が明示されていれば、事前に埋設物を予測しやすくなります。
撤去を依頼する業者の選び方
- 解体工事の実績
埋設物の撤去は解体工事と同時に行われることが多いです。豊富な実績を持つ業者なら、スムーズに進められます。 - 見積書の内訳を比較
一式だけの見積もりでは、どこにどの程度費用がかかるか不透明になりがちです。複数業者に相見積もりを取り、詳細な内訳を確認しましょう。 - 行政の許可や資格の確認
産業廃棄物処理に必要な許可を持っている業者であるかを要チェック。不法投棄などのリスクを避けるためにも、信頼できる業者に依頼することが大切です。
FAQ
地中埋設物にまつわる疑問は尽きません。ここでは、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 地中埋設物の有無はどうやって調べればいいの?
A. 解体工事や地盤調査の過程で発見されることが多いです。解体業者にあらかじめ「埋設物が見つかったら報告してほしい」と伝えておくとよいでしょう。
Q2. 売却後に埋設物が見つかった場合、費用はどちらが負担するの?
A. 売買契約書の特約次第ですが、多くの場合は契約不適合責任の観点から売主が負担を求められる可能性があります。契約前に埋設物が発見された場合の費用負担を明確にしておくことが重要です。
Q3. 買取業者に撤去費用を負担してもらうにはどうすればいいの?
A. 「現況有姿」で契約する際に、「埋設物が見つかった場合は買主が負担する」旨を契約書に記載してもらいましょう。ただし、その分売却価格が下がる可能性もあるので、トータルでの手取り額を検討することが大切です。
まとめ
地中埋設物は、空き家の売却プロセスにおいて見過ごせないリスク要因です。撤去のための費用負担や契約面のトラブルを防ぐためにも、事前に可能性をチェックし、撤去費用の相場や交渉のポイントを押さえておきましょう。契約前の段階で埋設物の有無や費用負担を明確にし、スムーズに売却できるよう備えることが大切です。